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セクハラ社員に懲戒解雇または退職勧奨の処分を行うことは可能か?

Q. 当社の女性従業員よりセクハラ行為があったとの苦情があり、内々に聞き取り調査を行ったところ、上司である男性従業員が女性従業員を何回か食事に誘ったが、断られ続け、腹いせに仕事を回さなくなったという状況のようです。加害者とされる男性従業員に確認したところ、「おおむね事実ではあるが、食事に誘ったのも、仕事を回さないのも業務上必要であったからであり、腹いせではない。セクハラ行為は行っていない。」という回答でした。このような場合に会社側はどのように対処したらよいものでしょうか。 当社はいわゆる「男社会」の職場であり、猥談やヌード画像などが公然とまかり通っている有り様です。会社としては若い女性社員の定着率が低いことを問題視しており、ここで強い姿勢を打ち出すために懲戒解雇や退職勧奨といったことも考えられるのでしょうか。


A. ご質問の状況は「対価型セクハラ」というセクハラ行為の類型でして、まずそのことを加害者となる方に理解していただかねばなりません。ところが、今回のケースは懲戒解雇処分を行うことのできる場合とはいえず、退職勧奨であっても厳しすぎる措置と考えます。まずは訓告処分を行い、反省を促し、被害者に謝罪をさせるというのが一般的な対応でしょう。可能であれば、さらに配置転換を行って被害者と加害者の引き離しを図ることが望まれます。 また、御社は全社的にセクハラに対する意識が低いようですので、まず、どのような行為がセクハラとなるのか、セクハラを行ってはいけない旨などを研修などで周知、啓発していく必要があるかと思われます。


1.セクハラ行為への対応は企業としてのモラルが問われるところ。


① 会社はどこまでセクハラ行為に責任を負うのか
一般的に会社内で発生したセクハラ行為は当事者同士の私的な問題と捉えがちですが、加害者および被害者を雇用する会社が責任を問われることも多々あります。といいますのは、もともと会社はそこで働く従業員に対し「職場環境配慮義務」(自社従業員の職場環境を良好に保つよう配慮すべき義務)や「使用者責任」(セクハラを行った従業員の雇い主としての責任)を負うとされているため、セクハラ行為が発生した場合、これらの義務や責任を根拠として被害者から責任を追及されることになります。最近の裁判では、セクハラ行為が原因で重大な精神障害(PTSD)が生じたために、被害者が会社及び加害者を提訴し、和解の結果、会社側に1,000万円(うち500万円は加害者の負担)の支払いを命じる決定が出されたこともありました。 ただし、セクハラ行為があった場合に会社が必ず加害者と連帯して責任を負うということではなく、日頃からセクハラ行為を未然に防ぐための対策を適切に講じていたなどの事情があれば、会社として、被害者に対する「就業環境配慮義務」や「使用者責任」を果たしていた(セクハラ行為の発生は専ら加害者側の要因によるものである)として、ある程度まで責任の割合が低く認定される可能性はあります。また、なにより事件が世間に公表された際に、会社がセクハラ行為に対しとった対応が企業イメージに関わってくるところです。

② セクハラ行為が発覚した場合のケアと懲戒処分
セクハラ行為があった事実が確認された場合、会社としては被害者に対するケアと加害者に対する懲戒処分を併せて行っていく必要があります。ここで適切な対応をとらないと、セクハラ行為がそのまま継続、あるいはエスカレートしてしまい、被害が大きくなるおそれがあります。これでは会社が「就業環境配慮義務」や「使用者責任」を果たしていたとはいえず、加害者と連帯してセクハラ行為の責任を負うことになってしまいます。さて、被害者に対するケアとしては、加害者あるいは被害者を転勤や配置転換として引き離しを図る方法が、セクハラ行為再発の防止および被害者に対するケアのためにもっとも有効な手段です。 ただし、ある程度規模のある会社でないと難しい場合もあるでしょう。また、就業規則による懲戒処分のうち「訓告」処分として始末書および被害者側への謝罪文を書かせること、加害者が管理職である場合はその適性なしとして「降格」処分とすることなどもセクハラ行為再発の防止および被害者に対するケアには効果があると考えられます。 加害者に反省を促すための「減給」処分や「出勤停止」処分などの実施も考えられますが、セクハラ行為再発の防止および被害者に対するケアを考えると、まずは「訓告」処分や「降格」処分の方が実効性はあるでしょう。 加害者が社内で重要なポジション(役員のケースもあります)であったりすると、セクハラ行為に対し会社が対応をとる際に被害者が転勤や配置転換をされるなど、しわ寄せがいくこともありますが、結局、「就業環境配慮義務」や「使用者責任」の問題からすると、会社が被害者に対し法的な責任を果たしていないことになりますので、被害者側を優先して対応する必要はあるでしょう。もし、被害者が不利益をこうむる場合には、金銭の支払いなど代償措置を行うことも考えられます。こうしたセクハラ行為への対応は企業としてのモラルが問われるところです。

【参考】「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理を講ずべき措置についての指針」(H18 厚生労働省告示第615号)

・セクハラの内容、セクハラがあってはならない旨の方針を明確化し、周知・啓発すること。
・行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等に規定し、周知・啓発すること。
・相談窓口をあらかじめ定めること。
・窓口担当は、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。また、広く相談に対応すること。
・相談の申出があった場合、事実関係を迅速かつ正確に確認すること。
・事実確認ができた場合は、行為者および被害者に対する措置をそれぞれ適切に行うこと。
・再発防止に向けた措置を講ずること。
・相談者、行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知すること。
・相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益取扱いを行ってはならない旨を定め、周知すること。



2.セクハラ行為への対応として懲戒解雇、退職勧奨を行う場合とは?


① セクハラ行為への究極の対応、「懲戒解雇」処分
セクハラ行為が発覚した際に会社が行う対応の究極として、加害者を「懲戒解雇」処分とする方法があります。これならば、会社内でのセクハラ行為の再発リスクをなくし、被害者に対するケアを図ることができます。 会社としてはセクハラ行為に対し厳格な処分を行い、被害者の救済を図る姿勢を示したということになるわけです。ただし、セクハラ行為により加害者を「懲戒解雇」処分とする場合、就業規則に懲戒処分(悪質なセクハラ行為が発覚した場合、懲戒解雇になるということ)が明確に規定されていることが前提となります。 そのうえで原因となる事由(セクハラ行為)が発生した際には、会社としてはまず、被害者および加害者、関係者から事情を聴くなどして事実を確認します。このあたりは一般的にセクハラ行為があった際に会社が採るべき対応となります。その結果、明らかとなった事実を規定に当てはめ、「懲戒解雇」処分とすることが客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる場合に、「懲戒解雇」処分とします。当然、事実が確認できなければ、「懲戒解雇」処分を行うことはできません。 セクハラ行為による「懲戒解雇」処分は以下のような場合でなければ客観的に合理的であり、社会通念上相当と認められないと考えられます。

・セクハラ行為が刑法犯に該当する場合(強姦、暴行、脅迫、強制わいせつなど)
・セクハラ行為が発覚後、会社の指導および懲戒処分を受けても改まらない場合

② セクハラ行為への対応として退職勧奨を行うことが有効なケース
ここまでご説明の通り、「懲戒解雇」処分には多くの制約があり、よほど犯罪的なセクハラ行為があったか、常習的で悪質であるというような事実がなければ、実施することができません。しかしながら、セクハラ行為の再発が危惧されたり、職場の規律維持のために、どうしても加害者に職場を去ってもらわねばならないケースもあるかもしれません。 その様な場合、加害者に対し退職勧奨を行い、職場を去ってもらうことで幕引きとする解決も考えられます。退職勧奨については懲戒解雇のように法的な制約がないので、会社としては自由に実施することができますが、加害者(とされた従業員)に退職という著しい不利益を課すことに繋がりますので、安易に行わず、セクハラ行為があった事実を確認してから退職勧奨の手続きを進めるようにすべきです。以下のような場合、退職勧奨を行うことが有効と考えられます。

・セクハラ行為が懲戒解雇処分に該当しないが、再発が危惧される場合
・セクハラ行為が懲戒解雇処分に該当しないが、他の従業員に悪影響を与えるおそれが強い場合
・セクハラ行為が懲戒解雇処分に該当しないが、職場の規律維持に必要な場合
・転勤や配置転換で引き離しを図るにも適当なポジションがない場合



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