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懲戒解雇を有効にするための要件(根拠、手続き、理由)とは?

Q. 当社では従業員が許可なく副業を行うことを禁止しているのですが、ある従業員が終業後、アルバイトをしていることが発覚しました。就業規則によると会社の許可なく他で勤務することは懲戒解雇の事由とされているのですが、そのまま懲戒解雇の手続きを進めて差し支えないものでしょうか。


A. 中小企業などでは懲戒解雇を気軽にやってしまいがちですが、懲戒解雇は会社が行う懲戒処分の中で、最も従業員に不利益が大きく重い処分であるため、後で裁判などで無効とされないように厳しい要件をクリアして行うことが必要とされます。 まず、就業規則に懲戒処分(どんなことをしたら懲戒解雇になるのか)が明確に規定されていることが前提となります。そのうえで原因となる事由(トラブル)が発生した時に、対象従業員の弁明を聴くなど手続きを経て事実を確認し、その事実を規定に当てはめ懲戒解雇とすることが「客観的に合理的な理由」があり、「社会通念上相当と認められる」場合に、ようやく懲戒解雇が有効とされます。ご質問の場合ですと二重就職というより副業であるため、いきなり懲戒解雇とするのは少々厳しいように思われます。御社での勤務に支障があるかということも判断要素となります。まず、当人から事情を聴取し、必要であればアルバイトを辞めてもらうよう指示するのがよろしいでしょう。


1.懲戒解雇の根拠となる就業規則の運用に注意する。


① 懲戒解雇が有効となるには就業規則の根拠が必要
懲戒解雇が有効とされるためにはまず、これをやったら懲戒解雇という運用上のルール(就業規則)が定められていて、それが従業員に周知されている状態でなければいけません。就業規則は従業員10名以上の会社でなければ作成の義務はありませんが、就業規則がないと懲戒解雇を行うことはできないため、いざという時の備えに作成しておくに越したことはありません。従業員が何かトラブルを起こしてから慌てて就業規則をつくり、「さあ懲戒解雇だ」という社長さんは多いのですが、後付けでつくった規定で過去の行為を取り上げ、懲戒解雇とするのは、従業員の側からすると理不尽極まりないことでして、さすがに認められません。


② 懲戒解雇は原因となる事由が起きたらタイムリーに行う
懲戒解雇の原因となる事由があってから、何らの処置もせず長期間が経過し、その後思い出したように処分を行うというのは基本的に認められません。懲戒解雇を保留とする合理的な理由がないのに放置していると、懲戒解雇を行う必要性がなくなったとみなされることになります。また、過去に他の懲戒処分(降格など)を行った案件について、同じ理由でさらに懲戒解雇とすることは認められません。一度懲戒処分が決定した場合、同じ理由を蒸し返して再度従業員を罰することができないということです。



2.懲戒解雇の手続きは手順を踏まえて行う必要がある。


① まず、懲戒解雇の要件に該当するか確認
懲戒解雇を行うには、まず懲戒解雇の原因となる事実が就業規則上の懲戒解雇の要件に該当するか確認するところから始めます。この確認を行うにあたっては、後々問題が裁判などに移行しても会社が不利にならないよう、懲戒解雇の根拠となる事実を客観的に証明することのできる証拠(出勤簿、勤務記録や関係者の陳述書、警察の証明書など)をできるだけ多く集めておく必要があります。就業規則や労働協約に懲戒解雇を行う際の手続きについて定めがあり、懲戒委員会において対象者の弁明を聴く機会を設け、その決定を経て懲戒処分を行うなどと定められているような場合には、その定めに沿って手続きを進めねばなりません。ちなみに、就業規則や労働協約に手続き上の定めがない場合、事実関係が客観的に明らかであれば、改めて本人の弁明を聴く機会を設ける必要はないとの見解を示した裁判例もありますが、懲戒解雇という重い処分を科すからには、手続きとして本人の弁明を省略することはできないとした裁判例もあり、結論としてはやっておいた方がいいだろうということになります。


② 懲戒解雇であっても原則、解雇予告は必要
懲戒解雇も解雇の一種ですので、対象となる従業員に30日前に解雇予告を行うこと(または30日分以上の平均賃金の支払い)が必要となります。所轄労働基準監督署長に「労働者の責に帰すべき事由」があったとして解雇予告を行わなくてもよいとされる手続き(解雇予告除外認定の申請)を行うこともできますが、手続きには多くの資料の準備が必要であり、1週間程度の時間がかかること、また、もし認定が受けられなかった場合に(労基署の判断は直接裁判の結果とは関わりないのですが)解雇した従業員側から足元を見られることにもなりかねないため、実務上は解雇予告手当を支払って対応することが多く見られます。



3.それでは、どのような理由で懲戒解雇が認められるのか。


就業規則などに一度懲戒解雇に関する規定を設けると、会社側もこれを厳格に運用することが求められます。例えば、同種の事案(トラブル)が起こった場合に、社長のさじ加減でそのつど処分の軽重を変えるということはできず、以前に降格処分としたのであれば、今度も懲戒解雇ではなく降格処分としなければならないということになります。懲戒解雇に関する規定への当てはめは過去の事案と矛盾せず、フェアに行わねばなりません。また、事案の内容と比べて懲戒解雇の処分が重すぎるとみられる(社会通念上相当と認められない)場合、処分は無効とされてしまいます。過去の判例によると、およそ以下のような事由で懲戒解雇が認められています。


・社内において刑法犯に該当する行為があった場合
 → 窃盗、横領、傷害などで逮捕され、有罪が確定した場合にはほぼ懲戒解雇が認められます。

・職場の風紀、規律を乱す行為により、他の従業員に悪影響を及ぼす場合
 → セクハラ・パワハラのうち悪質なものを引き起こした場合、賭博行為や常態的な酒気帯びなどがあり、会社側の指導にかかわらず改善しない場合は、懲戒解雇が認められやすいケースです。

・故意または重大な過失により、会社に重大な損害を与えた場合
 → 機密漏洩、その他災害または営業上の事故を発生させ、会社に重大な損害を与えた場合、会社側の管理責任を考慮した上で、懲戒解雇が認められます。

・連続14日以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合
 → 日頃、タイムカードや出勤簿などで勤務管理を行っていることが前提となり、連続14日以上正当な理由のない無断欠勤をした場合には、ほぼ懲戒解雇が認められます。

・遅刻・欠勤が多く、数回にわたって注意を受けても改まらない場合
 → 日頃、タイムカードや出勤簿などで勤務管理を行っていることが前提となり、会社の業務に支障がある程度でなければ懲戒解雇は認められません。

・採用条件の要素となるような経歴を詐称した場合
 → 採用の決定や入社後の処遇について、積極的に会社の判断を誤らせるような情報を提供していた場合、懲戒解雇が認められやすくなります。

・会社に無断で他の仕事をした場合
 → アルバイトやボランティア程度では懲戒解雇が認められない場合があります。就職といえる程度なのか、勤務に支障があるかどうかが判断要素となります。

・会社外における行動によって著しく会社の名誉や信用を傷つけ、または業務に重大な悪影響を及ぼす行為があった場合
 → 飲酒運転により重大事故を起こした場合、麻薬や覚醒剤の所持使用、詐欺、恐喝、放火、殺人など、プライベートにおいてはよほどの事案でないと懲戒解雇は認められません。



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