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解雇予告手当の正しい計算方法とは?

Q. 試用期間中の従業員の勤務状況が思わしくないため、本採用を拒否し、試用期間の終了をもって退職してもらおうと考えています。試用期間の終了まで期間はあと半月です。この場合、30日前の解雇予告は行う必要があるのでしょうか。もし、解雇予告を行う必要がある場合、すでに試用期間の終了まで期日が迫っているため、会社として解雇予告手当をいくら支払う必要があるのか、計算の方法を教えていただきたいと思います。


A. ご質問の試用期間終了時の本採用拒否は労働契約の期間満了により当然に退職となるケースとは異なり、解雇の扱いとなり、30日前の解雇予告または解雇予告手当が不要とはなりません。その例外として、試用期間が開始して14日以内に従業員の解雇を行う際は、解雇予告または解雇予告手当は不要となりますが、それ以降となると、試用期間中であっても、30日前に解雇予告を行うか、または解雇予告手当を払わねばなりません。解雇予告手当の計算方法については以下に詳述いたします。


1.解雇予告手当の正しい計算方法とは。


① 何日分の解雇予告手当を支給するのか
労働基準法第20条により、会社が従業員を解雇しようとする場合には、少なくともその30日前に予告をしなければならないことが定められています。ただし、この予告に変えて予告期間を短縮しようとする日数分の解雇予告手当を支払うことで、その日数分の予告期間を短縮し、解雇日を繰り上げることができます。つまり、解雇予告手当を何日分支給するかは会社側の判断により、早期に解雇する必要性や一種の退職手当的な要素などを考慮して、決めることとなります。

【例】従業員を3月31日に解雇しようとする場合

解雇予告期間

② 1日分の解雇予告手当の単価の計算

・原則としての計算
1日分の解雇予告手当の単価は、解雇予告日直近の賃金〆切日から遡って、3ヶ月間の賃金総額を3ヶ月間の歴日数で割った額で計算されます。

解雇予告日前3ヶ月間の賃金総額÷解雇予告日前3ヶ月間の歴日数

【例】3月25日に解雇予告を行う場合、賃金20日〆切り
 12月21日~1月20日(31日間) 賃金総額 256,000円
 1月21日~2月20日(31日間) 賃金総額 264,000円
 2月21日~3月20日(28日間) 賃金総額 250,000円


(256,000+264,000+250,000)÷(31+31+28)= 8,555円55銭 ※銭未満を切り捨て


・入社から賃金〆切日を3回経過していない場合の計算
1日分の解雇予告手当の単価は、解雇予告日直近の賃金〆切日から遡って、入社月までの賃金総額を歴日数で割った額で計算されます。

入社月から解雇予告日前までの賃金総額÷入社日から解雇予告日前の賃金〆切日までの歴日数

【例】2月1日入社の従業員に3月25日に解雇予告を行う場合、賃金20日〆切り
 2月1日~2月20日(20日間) 賃金総額 147,000円
 2月21日~3月20日(28日間) 賃金総額 224,000円

(147,000+224,000)÷(20+28)= 7,729円16銭 ※銭未満を切り捨て


・アルバイトなど勤務日数が少ない場合の計算
1日分の解雇予告手当の単価は、3ヶ月間の賃金総額を3ヶ月間の歴日数で割った額で計算されるため、パートやアルバイトなど勤務日数が少なく賃金総額が少ないケースですと、解雇予告手当の単価が極端に低額になってしまいます。こうした場合、最低保証という制度があり、原則的な計算と比較して、従業員側に有利な方の計算を採用することになります。

解雇予告日前3ヶ月間の賃金総額÷解雇予告日前3ヶ月間の勤務日数×60%

【例】アルバイト従業員に3月25日に解雇予告を行う場合、賃金20日〆切り
・原則的な計算
 12月21日~1月20日(31日間) 賃金総額 83,000円
 1月21日~2月20日(31日間) 賃金総額 56,000円
 2月21日~3月20日(28日間) 賃金総額 95,000円

(83,000+56,000+95,000)÷(31+31+28)= 2,600円

・最低保障額の計算
 12月21日~1月20日(勤務日13日) 賃金総額 83,000円
 1月21日~2月20日(勤務日7日) 賃金総額 56,000円
 2月21日~3月20日(勤務日15日) 賃金総額 95,000円

(83,000+56,000+95,000)÷(13+7+15)= 6,685円71銭
 6,685円71銭 × 60% =4,011円42銭

・有利な方を解雇予告手当の単価とする
 2,600円(原則的な計算) < 4,011円42銭(最低保障額)


③ 1日分の解雇予告手当に支給日数を掛ける

最後に1日分の解雇予告手当の単価に支給する日数を掛け、解雇予告手当の額を算出します。
【例】従業員を3月31日に即日解雇しようとする場合、賃金20日〆切り
 12月21日~1月20日(31日間) 賃金総額 256,000円
 1月21日~2月20日(31日間) 賃金総額 264,000円
 2月21日~3月20日(28日間) 賃金総額 250,000円

(256,000+264,000+250,000)÷(31+31+28)= 8,555円55銭 ※銭未満を切り捨て

 8,555円55銭×30(予告期間短縮分の日数)= 256,667円 ※円未満は四捨五入


④ 解雇予告手当の源泉徴収

解雇予告手当は所得税法上の退職給付、つまり給与ではなく、退職金と同様の扱いになります。したがって、雇用保険料や社会保険料などの源泉徴収はありません。最後に支給する給与に上乗せして支払い、雇用保険料を天引きしているケースがありますが、これは誤りです。また、所得税の源泉徴収は給与と分け、退職金と合算して計算することになります。


⑤ 解雇予告手当を休業手当として支払い、コストを下げることはできるか

労働基準法には、会社の都合で従業員を休ませる場合、平均賃金の60/100にあたる休業手当を支払わなければならないという規定がありますが、これを逆手にとると、平均賃金の60/100を支払えば、従業員を休ませることができるということになります。つまり、解雇予告期間の30日を会社の都合で休ませ、平均賃金の60/100を支払えば、その分、平均賃金相当の解雇予告手当より安くつくじゃないかという理屈です。さらに、この休業手当は所定休日に対して支給する必要は無く、勤務日についてのみ支給すれば良いため、解雇する従業員に対し、会社が支払うコストをさらに抑える効果があります。

【参考】31日間の月に所定労働日の22日を休業させる場合の休業手当
平均賃金 × 60/100 × 22/31

会社の都合で従業員を休ませる場合、この休業手当を支払うことで、ひとまず労働基準法上の義務は果たしたこととなります。しかしながら、労働契約とは、従業員が所定の労働日に所定の労働を行い、その対価として賃金を受け取ることまでを約束するものですので、会社の「責めに帰すべき事由」で所定の労働をできず、従業員が賃金を受け取ることができなかった場合、民事上の契約義務違反として100%の賃金(休業手当との差額)を請求される余地があり、実際に訴訟となると、会社側が敗れるリスクは多分にあります。



2.解雇予告、解雇予告手当についてよく勘違いされている点


① 解雇予告手当を支払ったからと言って、解雇が有効になるわけではない
解雇予告を行うか、解雇予告手当を支払えば手切れ金のごとく、解雇が法的に有効になると勘違いされる経営者の方は多くいらっしゃるのですが、この解雇予告手当の支払いは労働基準法による解雇の制約をクリアするのみの効果でして、解雇が法的に有効かどうかについては、労働契約法および過去の裁判例により「客観的に合理的理由があり、社会通念上相当であるか」について問われることとなります。


② 懲戒解雇だからといって、解雇予告または解雇予告手当が不要になるわけではない
従業員に就業規則上の懲戒解雇に該当する行為があったために懲戒解雇とするからといって、必ずしも解雇予告および解雇予告手当が不要になるわけではありません。およそ、以下のようなケースにおいて、所轄労働基準監督署長に解雇予告除外申請の手続きを行い、認定を受けてようやく不要とされます。

・天災地変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合
・労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合
※詳細は「懲戒解雇を有効にするための要件とは?」を参照ください。

解雇予告除外申請の手続きは煩雑で1週間ほどを要することとなるため、実務上、就業規則上の懲戒解雇を行う場合には、解雇予告を行うか、解雇予告手当を支給して、所轄労働基準監督署長への解雇予告除外申請の手続きは行わずに済ませてしまうこともしばしばあります。再度確認しておくと、就業規則はあくまで社内の内規であって、労働基準法の取り扱いとは異なるということです。


③ 解雇予告または解雇予告手当が不要になる例外的なケース
以下のケースに該当する場合、解雇予告および解雇予告手当の支払いが不要となります。間違いやすい点として、たとえば、2ヶ月契約の従業員であっても、契約の更新を行うか、契約期間の延長を行った場合、解雇予告または解雇予告手当が必要になります。また、耳慣れない単語で「季節的業務」というものがありますが、これはスキー場や海水浴場、農作業、あるいは杜氏の業務など、繁忙期のみのいわゆる出稼ぎ労働を指すものとされており、安易に拡大解釈して自社の業務に当てはめるのは危険です。

・日々雇い入れられる者で、雇用期間が1ヶ月未満である
・2ヶ月以内の期間を定めて使用される者で、雇用期間の延長、更新を行っていない
・季節的業務に4ヶ月以内の期間を定めて使用される者で、雇用期間の延長、更新を行っていない
・試用期間中の者で、雇用期間が14日以内である


④ 解雇予告手当を支払うタイミングは解雇日以前である必要がある
解雇予告もしくは解雇予告手当の支払が行われていない解雇は、少なくとも解雇の通知後30日を経過するか、所定の解雇予告手当の支払がなされるまでは無効とされる(旧労働省労働基準局の行政通達による)ため、解雇予告期間を短縮しようとするのであれば、解雇予告手当は解雇日以前に支払う必要があります。解雇予告手当が解雇日以降の給与支払日に支払われるケースもしばしば見られますが、これは誤りでして、実は、解雇の通知後30日を経過するか、給与支払日に解雇予告手当が支払われて、初めて労働基準法上の制約をクリアし、解雇が成立していたということになります。



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