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パワハラ社員に懲戒解雇または退職勧奨の処分を行うことは可能か?

Q. 当社の店舗で店長をしている従業員が、アルバイトに些細なことで怒鳴り散らすなどのパワハラ行為を行っているようです。せっかく採用したアルバイトが3ヶ月ともたずに退職することが続き、人手不足の中、アルバイトの採用も楽ではないご時世ですので、この店長にアルバイトを怒鳴り散らすなど、パワハラ的な指導を行わないようにとよく申し伝えたのですが、依然としてアルバイトはすぐに退職してしまう状況で、まったく改善が見られません。他の従業員からパワハラ行為があったという証言や苦情が多数上がって来ており、指導の効果もないということであれば、懲戒解雇や退職勧奨などにより退職してもらうことも考えられるのでしょうか。


A. いかなる処分を行うにしても、まずは確たる証拠をつかまねばなりません。証言や苦情を掘り下げ、いつ、どこで、どのようなパワハラ行為があったのかという記録をつけていくことが必要です。パワハラ行為が刑法犯に該当するような行為(暴行、傷害など)であれば、それだけで懲戒解雇とする事も可能ですが、一般的にそこまで明らかなパワハラは多くありません。パワハラ的な行為(度を超えた叱責など)ということですと、その都度、その従業員に指導を行った(にもかかわらず改善がなかった)という記録を蓄積し、その結果としてようやく懲戒解雇による退職が認められる流れとなります。退職勧奨については必ずしもそこまでの証拠は必要ありませんが、対象となる従業員の同意を得ることが前提となりますので、「パワハラ行為を行ったことが再び発覚した場合、退職することに合意する」といった内容の書面を徴収しておくと、パワハラの抑止に繋がることが期待できます。


1.パワハラが疑われる行為に対し、会社がとるべき対応とは?


① どのような行為がパワハラに該当するか

厚生労働省「職場のいじめ・いやがらせ問題に関する円卓会議」によると、パワハラとは、「職務上の地位や人間関係などの優位性を背景に、(上司や先輩が部下に)業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える、または職場環境を悪化させる行為」と定義されています。具体的にパワハラに該当する行為としては、以下の通りです。


行為の類型

行為の内容

パワハラに該当するか

身体的な攻撃

暴行・傷害
→殴る、蹴る、叩くなど

パワハラ。ただちに刑法犯に該当。損害賠償や慰謝料の形で民事上の責任が追及される

精神的な攻撃

強迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言
→恐怖を抱かせるような言動、人格を否定するような言動)

ほぼパワハラ。刑事および民事上の責任が疑われる。

職場内のいじめ・いやがらせ

人間関係からの切り離し
→隔離・仲間外し・無視
過大な要求
→業務上明らかに不要なことや遂行不能なことの強制、仕事の妨害
過小な要求
→業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
プライバシーの侵害
→私的なことに過度に立ち入ること

注意・指導として社会通念上許容される範囲を超えるものについてはパワハラ。


従来、「職場内のいじめ・いやがらせ」と定義されていた事例が、最近ではパワハラにも該当するとされています。身体的な攻撃、精神的な攻撃など、誰が見てもパワハラというような事例は会社としても判断がつきやすいのですが、職場内のいじめ・いやがらせについては微妙なところで、部下の問題行動の内容、程度(業務上のミス、能力不足、非違行為)に対し、上司や先輩従業員が行う注意・指導が、社会通念上許容される範囲(内容、方法、部下の人格への配慮)かどうかによって判断されます。この「社会通念上許容される範囲」については、過去の裁判においても、業種や企業文化、行為が行われた状況、行為の継続性などによって総合的に判断され、類似の事例であっても判断が分かれることがあります。社内で安易に判断を下すのではなく、社会保険労務士や弁護士などの専門家に相談することをお勧めいたします。


② パワハラかどうかの判断は明確に

最近ではパワハラという言葉を盾にとり、自己主張を行う従業員も多く、必ずしも上司や先輩従業員の側が加害者とばかりいえないケースもあります。パワハラ行為があった旨の申し立てがなされた場合、会社としては加害者とされた従業員、および関係者に事情を聴取し、指導記録や日報、タイムカードなどを調べ、必ず事実関係を把握せねばなりません。調査の結果、パワハラ行為があった事実が確認できなかった場合、推測で上司や先輩従業員を加害者と決めつけ、懲戒処分を行ってはいけません。会社側の不当な処分により損害を被ったとして訴えを起こされるケースもあります。


③ パワハラの責任は会社にもある

パワハラ行為が発生した場合には、一次的には直接の加害者が責任を追及されることとなりますが、被害者に対する「職場環境配慮義務」(自社従業員の職場環境を良好に保つよう配慮すべき義務)や「使用者責任」(パワハラを行った従業員の雇い主としての責任)を根拠として、会社が加害者に連帯して責任を追及されることが一般的です。色々な職場を拝見しておりますと、明らかにパワハラが起きやすい職場と、そうでない職場があるようです。労働時間が長い、あるいは高いノルマが課せられるなど、労働環境に余裕がない職場でタテ型のコミュニケーションにより仕事を行う場合、上司の指導も厳しくなる傾向があります。一方、そのような職場でもヨコ型のコミュニケーションにより仕事を行う場合にはさほどではなく、上司にかかる責任から来るプレッシャーがパワハラに繋がっているところがありそうです。結局、パワハラが起こるのは会社の体質や指導方針によるところが大きく、発生したパワハラ行為に対処を行うだけでは根本的な解決になっていないということがいえます。パワハラに対して日ごろ会社がとるべき対応は、セクハラに関する指針を読み替えたものが参考になります。


【参考】「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理を講ずべき措置についての指針」(H18 厚生労働省告示第615号)赤字部分は読み替え

パワハラの内容、パワハラがあってはならない旨の方針を明確化し、周知・啓発すること。
・行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等に規定し、周知・啓発すること。
・相談窓口をあらかじめ定めること。
・窓口担当は、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。また、広く相談に対応すること。
・相談の申出があった場合、事実関係を迅速かつ正確に確認すること。
・事実確認ができた場合は、行為者および被害者に対する措置をそれぞれ適切に行うこと。
・再発防止に向けた措置を講ずること。
・相談者、行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知すること。
・相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益取扱いを行ってはならない旨を定め、周知すること。



2.パワハラへの対応として懲戒解雇、退職勧奨を行う場合とは?


① パワハラへの最終的対応、「懲戒解雇」処分

悪質なパワハラ行為があった事実が認められた場合に会社が採りうる対応として、加害者を「懲戒解雇」処分とする方法があります。確実にパワハラ行為の再発リスクをなくし、被害者に対し最大限の配慮を図る方法です。 パワハラはあくまで上司や先輩従業員による指導の一環と考え、比較的甘い措置をとる会社が多い中、厳格な処分を行い、パワハラを撲滅する姿勢を示したといえます。もし、パワハラ行為により加害者を「懲戒解雇」処分とする場合には、就業規則に懲戒処分(悪質なパワハラ行為が発覚した場合、懲戒解雇になるということ)が明確に規定されていることが前提となります。パワハラが疑われる状況で会社が調査を行い、明らかとなった事実を規定に当てはめ、「懲戒解雇」処分とすることが客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる場合に「懲戒解雇」処分とします。当然、悪質なパワハラ行為のあった事実が確認できない場合、「懲戒解雇」処分を行うことはできません。

パワハラによる「懲戒解雇」処分は以下のような場合でなければ客観的に合理的であり、社会通念上相当と認められないと考えられます。


・パワハラ行為が刑法犯に該当する場合(暴行、傷害、脅迫など)
・パワハラ行為が発覚後、会社の指導および懲戒処分を受けても改まらない場合



② パワハラへの対応として退職勧奨を行うことが有効なケース

「懲戒解雇」処分を行うには多くの制約があり、刑法犯に該当するようなパワハラ行為があったか、会社の指導および懲戒処分を受けても改善の余地がないといった事実が確認できなければ、「懲戒解雇」処分を行うことはできません。しかしながら、パワハラ行為の再発が危惧され、被害者の保護が必要であったり、職場の規律を維持するために、どうしても加害者(とされた従業員)に退職してもらう必要のあるケースもあるかと思います。 そのような場合、加害者(とされた従業員)に対し退職勧奨を行い、合意の上、退職してもらう形での解決も考えられます。退職勧奨については懲戒解雇のように法的な制約がないので、会社としてはどのようなタイミングでも実施することができますが、加害者(とされた従業員)に退職という著しい不利益を課すことになりますので、パワハラ行為があったという証拠が不充分な状態で安易に実施すべきではありません。以下のような場合、退職勧奨を行うことが有効と考えられます。

・パワハラ行為が懲戒解雇処分に該当しないが、再発が危惧される場合
・パワハラ行為が懲戒解雇処分に該当しないが、他の従業員に悪影響を与えるおそれが強い場合
・パワハラ行為が懲戒解雇処分に該当しないが、職場の規律維持に必要な場合
・転勤や配置転換で引き離しを図るにも適当なポジションがない場合



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