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労働基準法による解雇と解雇予告のルールとは?

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Q.当社ではこれまで縁故により従業員の採用を行ってきましたが、人手不足の折、この度はじめてハローワークの紹介で採用を行うことになりました。採用した従業員が万が一当社に合わなかった場合に備え、労働基準法による解雇のルールを知っておきたいと考えておりますので、教えていただけますでしょうか。
A.労働基準法による解雇のルールは大きく分けて4つあり、1.解雇の事由(どのような事情で解雇になるか)を入社時に書面で明示すること、2.解雇を行うには原則30日前に予告を行うこと、3.労災事故によるケガや病気、または産前産後の休業中およびその後30日間に解雇はできないこと、4.有給休暇の取得や法令違反の申告を理由として解雇をできないこととなり、それぞれ詳細を以下に説明しております。労働基準法が定めるのは労働条件に関する最低基準でして、これをクリアしたところで解雇が有効とされるには労働契約法など他のルールが適用される場合がありますので、ご注意ください。

1.解雇は原則として不意打ちで行うことができない。

① 解雇の事由は入社時に書面で明示する必要がある

労働基準法第15条により、会社が従業員を採用するときは、解雇の事由(どのような事情で解雇になるか)を含む労働条件を労働契約書または労働条件通知書など書面で明示しなければなりません。一般にはあまり知られていませんが、明示された労働条件が事実と相違している場合、労働者は即時に労働契約を解除し、退職することができます。また、労働基準法第89条により、会社における各事業場の従業員が常時10人以上となる場合、労働契約書または労働条件通知書に加え、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署に届け出ることが義務となっています。その際、解雇の事由を含む退職に関する事項は必ず記載しなければなりません。ちなみに、労働契約書や就業規則に明示されている解雇の事由に該当する事情が生じたとしても「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」(労働契約法第16条)とされており、就業規則に基づき解雇を行うことが必ずしも有効とされるものではありません。

② 解雇を行うには原則として30日前に予告する必要がある

労働基準法第20条により、会社が従業員を解雇するときは、少なくとも解雇の日の30日前に予告しなければなりません。ただし、1日につき平均賃金1日分の解雇予告手当を支払うことで、その日数分の期間を短縮することができます。30日前の解雇予告またはこれに変わる解雇予告手当の支払いが行われていない解雇は、少なくとも解雇を通知してから30日を経過するか、所定の解雇予告手当が支払われるまでは無効とされます(旧労働省労働基準局の通達による)。そのため、従業員をその日に解雇するには、解雇予告手当をその日のうちに支払わねばなりません。解雇予告手当を直近の給与支払日に支払うケースもありますが、これは認められず、解雇を通知してから30日を経過するか、給与支払日に解雇予告手当を支払うことで初めて労働基準法の制約をクリアすることになります。なお、以下の状況の場合、例外として30日前の解雇予告またはこれに変わる解雇予告手当の支払いが不要となり、即時に解雇することが可能です。

解雇予告またはこれに変わる解雇予告手当の支払いが不要なケース
・天災地変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となり、所轄労働基準監督署長の認定を受けた場合
・労働者の責に帰すべき事由があり、所轄労働基準監督署長の認定を受けた場合
・日々雇い入れられる従業員で、雇用期間が1ヶ月未満である場合
・2ヶ月以内の期間を定めて使用される従業員で、雇用期間の延長、更新を行っていない場合
・季節的業務に4ヶ月以内の期間を定めて使用される者で、雇用期間の延長、更新を行っていない場合
・試用期間中の従業員で、雇用期間が14日以内である場合

ちなみに、30日前の解雇予告またはこれに変わる解雇予告手当の支払いを行ったとしても「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」(労働契約法第16条)とされており、解雇を行うことが必ずしも有効とされるものではありません。

2.解雇が禁止されている期間と退職時の証明書交付

① とくに解雇が禁止されている期間がある

労働基準法第19条により、従業員が業務上のケガや病気(労災事故)によって休業する期間および復帰後の30日間はとくに解雇が禁止されており、ほかの事由をすべて満たしたところで解雇を行うことはできません。ただし、例外として、業務上のケガや病気の治療を開始して3年経過以降に平均賃金の1,200日分を労働基準法第81条による打切補償として支払うか、労災保険による傷病補償年金を受給している場合か、労働基準法第19条による天災地変その他やむを得ない事由により事業の継続が不可能なことにつき行政官庁の認定を受けた場合には解雇を行うことが可能となります。また、労働基準法第65条により、従業員が産前産後休業を行う期間およびその後30日間はとくに解雇が禁止されており、ほかの事由をすべて満たしたところで解雇を行うことはできません。この産前産後休業の期間はあくまで労働基準法による産前42日から産後56日までの間であり、育児休業や任意の休業(欠勤)期間は含まれません。ただし、例外として、労働基準法第19条による天災地変その他やむを得ない事由により事業の継続が不可能なことにつき行政官庁の認定を受けた場合には解雇を行うことが可能となります。

② とくに解雇が禁止されている理由がある

労働基準法第104条により、従業員が労働基準監督署などに会社の法令違反を申告したことを理由として、また、労働基準法第136条により、従業員が年次有給休暇を取得したことを理由として解雇を行うことはとくに禁止されています。これらの条文は従業員が労働基準法による権利や措置を講じたことに対抗し、会社が行う制裁(報復)を禁止するもので、解雇同様に減給など一切の不利益措置を講じることができません。

③ 退職証明書(解雇理由証明書)の請求には応じる義務がある

労働基準法第22条により、退職した従業員から請求があった場合、会社は退職証明書を作成し、交付しなければなりません。退職証明書は在職期間中から退職にいたるまでの事実を証明するための書面であり、退職日以降に請求があった場合に交付を行うことになります。退職証明書の書式については任意のものとなりますが、記載する事項は以下のうち、退職した従業員から請求があった事項のみとなり、本人が希望しない事項を記載することはできません。

退職証明書に記載する事項
・対象者の氏名
・使用期間
・従事していた業務の種類
・その事業における地位(役職)
・賃金
・退職の事由(解雇の場合はその理由を含む)
・会社名、代表者職氏名

また、同じく労働基準法第22条により、解雇予告を行った従業員から解雇理由証明書の請求があった場合、会社は解雇理由証明書を作成し、交付しなければなりません。解雇理由証明書は解雇に関する事実を証明するための書面であり、解雇予告期間中に請求があった場合に交付を行うことになります。解雇理由証明書は解雇に関する事実のみを証明するための書面であり、退職後はより記載事項の多い退職証明書の請求ができるため、解雇理由証明書としての請求が行われることはありません。解雇理由証明書の書式については任意のものとなりますが、記載する事項は以下のうち、退職した従業員から請求があった事項のみとなり、本人が希望しない事項を記載することはできません。

解雇理由証明書に記載する事項
・対象者の氏名
・解雇予告を行った日
・解雇理由(就業規則上の根拠と事実関係を含む)
・会社名、代表者職氏名

 

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