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会社都合退職にしてほしいと社員から言われたときの対応は?

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Q.先日、ある従業員が退職希望の旨と希望する退職日を伝えてきたため、引き継ぎを考えて日程を調整し、すぐに返答することになっておりました。ところがその折、その従業員から退職理由を「自己都合退職」ではなく「会社都合退職」にして欲しいと連絡がありました。会社としてはいちど当人から退職の意思が示された以上、速やかに退職してもらいたいと考えています。ところが、本人の希望を受け入れ、退職理由を「会社都合退職」とすると、退職金の額が大きく増加するので、会社としては容認できないところもあります。ここは退職理由の変更に応じるのが無難でしょうか。あるいは、交渉の余地があるのでしょうか。
A.「会社都合退職」という言葉に明確な定義はありませんが、あえて言うならば会社の都合による合意退職といったところでしょうか。解雇と言うよりは、退職勧奨に近いニュアンスです。さて、従業員の方が「会社都合退職」という場合、一般的には雇用保険の特定受給資格者になる(手厚い失業給付を受ける)ことが目的とされます。そのような場合、会社としては退職理由を変更してもさほどリスクは大きくないといえます(助成金の申請を行っている場合はご注意ください)。しかし、これが退職金額を増やすための「会社都合退職」というと、会社にコストがかかることですので、容易には応じられません。まずは、退職希望の旨を伝えられた方に意図するところをご確認ください。会社が従業員からいったん退職届を受理した場合、退職の条件は確定し、撤回したり、退職理由の変更の余地はないと考えられますが、退職の申し出が口頭によるものであった場合、証拠が残っておらず、のちのちトラブルの発生につながりかねません。そのような場合、会社としてその従業員に速やかに退職してもらいたいと考えるのであれば、まさしく退職勧奨として「会社都合退職」への変更を認めるのも一つの対処法です。退職の条件が確定した折には、のちのちトラブルとならないよう、必ず「退職合意書」を作成し、書面で残すようにしましょう。

1.従業員と会社、それぞれの「会社都合退職」。

① 従業員の意図する「会社都合退職」とは

従業員の意図する「会社都合退職」とは、従業員が退職する際に会社が行う証明によって「会社都合退職」とされる(雇用保険法上の会社都合退職)と、雇用保険の失業給付を受ける際にメリットを受けられることを狙ったものが多いようです。そのメリットの内容とは、失業給付を受けるための雇用保険加入期間が自己都合退職であれば1年必要なところ、会社都合退職の場合は6ヶ月で足りること、失業給付の受給開始のタイミングが自己都合退職であれば3ヶ月後になるところ、会社都合退職であればすぐに受給できること、さらに、失業給付を受けられる日数が多くなることがあります。これらは本来、退職勧奨や解雇で退職した従業員を救済するための措置なのですが、従業員から見ると一種、退職金のように見え、従業員が雇用保険法上の会社都合退職を希望することにつながっています。さて、会社に退職金を支給する規定がある場合、ほとんどの場合、「自己都合退職」と比べ、「会社都合退職」の退職金は高く設定されています。従業員が退職金額を増やすために「会社都合退職」を希望する場合については、その額は数百万円単位に上ることも多く、会社としてはおいそれと退職理由の変更を認めることのできない場合も多いでしょう。

② 「会社都合退職」が必ずしも会社にデメリットがあるとは限らない

会社と退職者で申し合わせた退職理由で雇用保険の手続きを行うことに問題がないか、心配をされる方は多くいらっしゃいます。確かに、雇用保険の届け出を行う退職理由(会社都合退職、または自己都合退職)は、あくまで事実に即したものでなくてはなりません。ただし、実務上は会社と退職者の合意の元に体裁を改め、お互いの間で確認された事実関係を届け出ることに関しては、事実上退職勧奨と同義となり、問題ないとされています。会社が「会社都合退職」の退職者を出すことに関するデメリットとしては、雇用に関する助成金の申請を行おうとする場合に、受給を停止されてしまうケースがあるということです。ただし、これは会社が助成金の申請を行っていない場合ではとくにデメリットとなりません。また、「会社都合」の退職者を出したからと言って、関係者へ箝口令を敷いた上で、適切な合意書を交わしていれば、のちのち退職勧奨や解雇に関する風評が立ったり、会社が何らかのデメリットを被るリスクは最小限にとどめることが可能です。

2.退職条件を確認し、「退職合意書」にまとめる。

① 「会社都合退職」をめぐる交渉

退職の際の条件は会社と従業員で話し合いの場を設け、決定します。いちど、従業員から退職希望の旨と希望する退職日を伝えてきているので、会社としては無理に「会社都合退職」として扱う必要は無く、当初の申し出を下敷きとするのがセオリーでしょう。あるいは、会社にデメリットがないと判断し、退職勧奨に近い形で「会社都合退職」を認め、穏便な解決を図る場合もあります。もし、交渉が決裂すると、最悪、従業員から退職の申し出を撤回する、あるいは退職の申し出は行っていないなどと主張されることもあります。そのような場合に現職に復帰させるのか、あるいは、そのまま退職の手続きを進めるのか、どちらが良いとも言いきれず、判断が分かれるところです。助成金の申請を行っているなど、会社の事情で、確実に「自己都合退職」(本人から退職の申し出を行ったという体裁)にしてもらいたいのであれば、従業員が受けられた(かもしれない)失業給付や退職金の額を考慮する形で、従業員に譲歩することもあります。

② 退職合意書は必ず作成しておく

こうして、会社と従業員の間で話し合いの場を設け、その内容を「退職合意書」として残さなくては、結局、当初の証拠が残っていない状態と変わりません。「退職合意書」を作成する際には、退職日や雇用保険の届け出を行う退職理由(会社都合退職、または自己都合退職)、退職金の取り扱いなどにつき合意を図り、明記しておきましょう。可能であれば、引き継ぎに関する条項なども入れておきます。なお、同時期に複数の退職者が生じる場合、それぞれの従業員に妥協して、退職条件は不統一にならざるを得ません。 そこで、一人の従業員の退職条件が他の社員に漏れてしまうと、不公平と受け取られ、クレームにつながってしまうおそれがあります。そのような場合を考慮し、「退職条件について口外しない、退職理由について尋ねられた場合は円満退職であるとのみ伝える」といった秘密保持に関する事項についても「退職合意書」に加えておくとよいでしょう。 これには、のちのち退職勧奨や解雇に関する風評が広がることを食い止める効果もあります。

 

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