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雇い止めで契約社員を退職させる方法とは?

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Q.半年ほど前に入社した契約社員の仕事の効率が悪く、次の契約更新の際に雇い止めにできないかと考えています。当社において契約社員はあくまで一時的な労働力としての位置づけであり、雇い止めを行うにあたっては会社の裁量が広く認められると認識しているのですが、注意すべき点はありますでしょうか?なお、契約については6ヶ月の契約を1回更新したばかりですので、雇い止めを行うまで6ヶ月弱は待とうと考えています。
A.期間の定めのある労働契約の更新を会社側が拒否した場合、契約期間の満了により雇用が終了し、従業員は退職となりますが、これを「雇い止め」といいます。雇い止めについては会社が一方的に行うことができるが故に一定の制約が設けられています。労働契約法(第19条)では、以下のいずれかに該当する有期労働契約に関しては雇い止めを行うに際し、客観的で合理的な理由がなく、社会通念上相当でなければ認められず、従前と同一の労働条件で有期労働契約が更新されることになるとされています。
・過去に反復更新された有期労働契約で、その雇い止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの
・労働者において有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められるもの
裏を返していえば、この条件を排除することで、雇い止めが有効となるともいえます。詳細については下記をご参照ください。

1.雇い止めを行うには短期・臨時的な雇用の意識が必要。

① 労働契約の反復更新に注意すること

有期労働契約を反復して更新していくと、徐々に短期・臨時的な雇用とはいえなくなり、その回数や期間に応じて、ニュアンスが期間の定めのない労働契約へ転化していきます。1回限りの有期労働契約ではこのような問題は生じず、およそ更新回数3回、あるいは契約期間1年程度からこうした問題が生じるとされています。また、契約更新の際に行う手続きが形骸化してしまっていると期間の定めのない労働契約と見られるため、契約更新のつど契約の条件について交渉を行い、その結果を取りまとめて新たな契約書とします。たとえば、会社と契約社員の間で署名捺印のために書類をやり取りするような状態では、機械的に手続きがなされているとされ、契約更新の実態がないと見られるおそれがあります。

② 労働契約の更新を期待させない

労働契約法においては、労働者が有期労働契約の更新に期待することが合理的な状況であるならば、会社側から一方的に雇い止めを行うことはできないとされるため、ならば契約更新への期待を持たせなければいいじゃないかという考えに至ります。そのためには、契約の更新時にその契約をもって最終とし、再度の契約更新を行わない旨を労働者側に通知し、できれば、文面を契約書に盛り込むようにします。労働者が再度の契約更新を行わない旨に合意しない場合においても、契約更新を行わない会社側の意思をその際に明確に通知しておけば、解雇予告としての効力をもつこととなり、契約更新を行わないことに「相当の理由」は求められますが、有効な雇い止め(解雇)とは認められます。なお、社内で同様の立場にある他の労働者に過去の雇い止めが行われていない場合、待遇のバランスを失するとして雇い止めを無効とする要素に働いてしまいます。

③ 業務内容が恒常的、基幹的なものになっていないか

雇い止めが有効かどうかを判断するにあたり、その労働者が従事する業務が恒常的、あるいは臨時的であるかどうかも判断の要素となります。業務が恒常的というのは業務が定まって変わらないものを言い、たとえば情報処理業におけるプログラミング業務などがこれにあたるとされています。一定期間で作業終了が予定されるなど臨時的なものであれば、雇い止めを行うにあたっては差し支えがありません。また、社員など期間の定めのない労働契約による労働者と比較し、嘱託や非常勤、アルバイトなど、契約上の地位が臨時的であるか、あるいは業務の内容が補助的なものに留まれば、雇い止めを有効とする要素に働きます。

2.雇い止めを行うことのできないタイミングがある。

① 契約更新の判断基準を明示しておく

ここまでは事前に雇い止めの有無がはっきりしているケースについて説明してきましたが、契約更新時の状況により雇い止めを判断するというケースもありえます。契約更新を判断する上で何の指標もなく雇い止めを行うということであれば、労働契約法で求められる「契約更新を行わない相当の理由」があるとはいえないため、契約更新を行う際の判断基準は契約を締結(更新)する時点で設け、労働者側と合意の上、労働契約書に記載しておくようにします。この判断基準はなるべく数字などで客観的に判断できる基準が望ましいでしょう。いざ裁判などとなった際も、客観的に判断できる基準があることで立証が容易となります。往々にして会社側の恣意を交えてしまうことで、トラブルの原因となっています。なお、契約更新の基準は、就業規則に記載することで導入することもできます。

※参考 厚生労働省「有期労働契約の締結、更新および雇い止めに関する基準」
契約更新の判断基準モデルケース
・契約期間満了時の業務量
・労働者の勤務成績、勤務態度
・労働者の能力
・会社の経営状況
・従事している業務の進捗状況

② 契約期間途中での解雇はある意味正社員より厳しい

契約社員とはいえ、雇用契約に期間の定めがある場合、やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間の途中で労働者を解雇することはできないこととされています。契約期間の途中に限って言えば、契約社員は終身雇用の社員以上に身分を保証される面があります。もし、契約期間の途中で解雇しようとするならば、残りの期間の雇用を金銭で精算しなければならない場合もあるでしょう。

③ 5年を超えて契約更新を行った場合、雇い止めができなくなることも

平成24年に行われた労働契約法の改正により、有期労働契約が反復して更新され、通算5年を超えた後に本人から申し込みがあった場合、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換しなければならないというルールが新たに設けられました。つまり、労働契約が通算5年になった時点で雇い止めを行うことができなければ、その後いっさい雇い止めを行うチャンスはないということになってしまいます。ちなみに、この「期間の定めのない労働契約」についてはまだ対象となる労働者が出ていないため、実務上の詳細は不明なところがありますが、勤務の実態が恒常的、基幹的となっている「実質的に期間の定めのない契約とみなされる」労働契約を法的な権利として明確にしたものとみられます。通算5年の期間は平成25年4月1日からカウントするため、最も早くて平成30年4月1日からこうしたケースが出てきます。なお、期間の定めのない労働契約への転換は本人からの申し込みが条件となりますが、事前に契約を交わすなどして、あらかじめ労働者にこの権利を放棄させることはできません。

 

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