退職合意書を作成するまでの流れとは。
① あくまでも会社と従業員の間のコミュニケーション
退職合意書を作成するには、対象となる従業員と面談を行いますが、その際には、従業員側の都合を聞いてあげる姿勢が重要です。あくまでも会社と従業員のコミュニケーションによる合意が前提となるため、高圧的な態度で臨んだり、一方的に会社の都合を押しつけてはいけません。面談の際は相手の従業員に圧迫感を与えないよう、できれば一対一、多くとも会社側の担当者は二人くらいまでにしておきましょう。 自分の都合をなかなか言い出せない従業員もいると思いますので、その場合は会社側で妥協できるラインをあらかじめ決めておき、従業員に対し提案を行います。事前に合意書の叩き台を作成しておき、提示する手法も有効です。 一度の話し合いで合意書ができればよし、しばらく検討したい、もちかえって相談したいといわれた場合は予め日程を決めておき、次の面談に臨みます。 話し合いの結果、会社と従業員が合意に至った場合はその内容を文章としてプリントアウトし、確認の上、その場で双方が署名(および捺印)を行って、一部ずつ保管とします。
②退職合意書に何を盛り込めばいいのか?
退職合意書に盛り込む一般的な条項はおよそ、以下の通りです。必要に応じてアレンジを加えることになります。
共通して入れる条項 | 退職日 離職理由 債権債務を清算するための条項 在職中の違法行為不存在に関する特約 この合意に関する秘密の保持 |
業務引き継ぎを行わせるための条項 | 業務の引き継ぎを行うこと 退職慰労金の支給(引き継ぎを条件とする) 未取得の年次有給休暇の買い取り |
退職勧奨を行う際の条項 | 退職慰労金の支給 有給の求職休暇の付与 |
退職合意書で具体的に何ができるのか?
①退職時、退職後のトラブルを予防する
退職時に合意書を作成する最大の目的とは、在職中に生じた会社と従業員の権利義務の関係を合意を持って確定し、後々にトラブルを持ち越さないことにあります。そのために、本書面に定めるほか、双方に何らの債権債務がないと明記しているほか、従業員は後日、関係者に請求並びに行政措置を求める申告等を行わないことに同意する旨の条項が入っています。 しかしながら、後々になって従業員が在職中に違法行為を行ったことが発覚した場合に責任が追及できないということでは、問題があります。そこで、違法行為が存在しない旨の確約と、万が一の場合に損害賠償請求権を留保しておきます。 たとえば、機密情報や個人情報保持に関する条項や同業他社への再就職禁止に関する条項を加えることもできますが、あまり会社側の都合を盛り込み過ぎると従業員側にとって「重たく」なり、合意を得るためのハードルが上がってしまうため、ほどほどにしておいた方が良いでしょう。こうした条項に関して合意を確実に取り付けておきたい場合には、別紙で「誓約書」などを作成し、退職合意書とは切り離して取り扱います。
②業務の引き継ぎを確実にやってもらう
従業員側から退職の申し出があった場合は、退職日など申し出の内容を確認し、会社側の都合により受理の可否を判断することになります。 直属の上長が退職の申し出を受けた場合は、人事部長など所定の受理権者より、改めて受理の可否および退職手続き等に関する打ち合わせを行いたい旨を通知します。 従業員が退職の申し出を行い、そのまま出社しなくなってしまうようなことも考えられますので、この通知および打ち合わせは退職の申し出があった日のうちに行うものとし、難しいようであればなるべく早いタイミングで行うべきです。 業務の引き継ぎを適切に遂行したと会社が認める場合に限り、退職慰労金の支給を行う条項を入れておくことがポイントとなります。合意書を作成せずにそのまま退職するのに比べ、従業員側にデメリットの少ない内容なので、比較的合意は得やすいでしょう。 退職時の引き継ぎによって、年次有給休暇を取得させる時間的余裕がない場合があるため、退職時に未取得の年次有給休暇を買い取る条項も設けます。これによって、退職していく従業員は安心して業務の引き継ぎに専念することができます。
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