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契約社員は正社員より解雇しやすいのか?

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Q.8ヶ月ほど前に入社した契約社員に当初把握していなかった持病があることが発覚しました。そのまま業務を行わせれば事故が生じ、周囲の従業員をも巻き込む恐れがあるため、ただちに解雇したいと考えております。この契約社員は6ヶ月の契約を1回更新したところで、契約期間はあと4ヶ月ほど残っている状況ですが、契約社員ということで期間の終了を待たずに解雇することは可能でしょうか?
A.契約社員とは、一般的に、長期・終身雇用を前提とする正社員と比較し、短期・期間雇用を前提とする従業員を指して用いられる概念です。注意しなければならないのは、契約社員というのは会社が恣意的にそのように呼称しているだけであり、そのことを理由として正社員より解雇がしやすいわけではありません。契約社員の雇用契約に期間の定めがある場合、労働契約法(第17条)の定めにある通り、「やむを得ない事由がある場合」でなければ、期間の途中で契約社員を解雇することはできないとされています。持病を原因とする解雇については、まずは、その契約社員の方を事故が起こらないような他の業務に配置転換することを検討し、社内にポジションがないような場合にようやく解雇が認められることとなります。直ちに解雇したいということであれば、退職勧奨を行って合意退職に持ち込む方法もありますが、雇用期間の満了をもって雇い止めとするのが無難でしょう。

1.契約社員は正社員より解雇しやすいのか?

① 契約期間途中での解雇は正社員より厳しい条件を求められる

契約社員の解雇が認められるための「やむを得ない事由」とは、契約社員を引き続き雇用することが適当でなく、契約期間の満了を待つことなく直ちに雇用契約を解除せざるを得ない程度の事情とされており、期間の定めのない雇用契約と比べ、客観的に差し迫った必要が認められるような状況でなければなりません。つまり、契約期間の途中に限って言えば、会社は契約期間に拘束され、終身雇用の社員以上に契約社員を解雇することは困難ということになります。ちなみに、この契約期間による拘束は双務的なものであり、契約社員の側も「やむを得ない事由がある場合」でなければ退職することはできず、期間の途中に退職を強行するならば、会社が解雇を行う場合と同様、損害賠償の問題が生じる可能性があります。

② 契約社員に懲戒解雇を行う際の要件は正社員と同じ

契約社員であっても、企業秩序に対する重大な違反行為を行った際には、正社員と同様に懲戒解雇を行うことができます。懲戒解雇を行うには、労働契約または就業規則にどのような行為をしたら懲戒解雇になるかという運用上のルールが定められており、あらかじめ周知されている状態でなければいけません。契約社員に対して正社員の就業規則を準用しているケースが多くみられますが、労働契約および就業規則の記載において、懲戒解雇を含む懲戒のルールが明確に委任されている必要があるので、注意が必要です(不備があれば、懲戒解雇を行うことができません)。正社員と同様、原因となる事由(トラブル)に対し、本人の弁明を聴くなどの手続きを経て事実を確認し、「客観的に合理的な理由」があり、「社会通念上相当と認められる」場合に懲戒解雇が有効となります。

③ 契約社員に試用期間を設ける必要はあるのか?

契約社員を採用する際に試用期間を設けるケースがありますが、短期・期間雇用を前提とする契約社員に対して、長期・終身雇用を前提とする正社員のごとく、わざわざ試用期間を設けて解雇の権利を留保する必要があるのかについては疑問に感じられます。下図の通り、試用期間を設けた場合、その従業員を解雇できるチャンスは主に試用期間の満了時のみとなります。当初の試用期間で雇用を継続するかの判断がつかなければ、本人の同意を得て試用期間を延長することが可能ですが、たとえば1年の雇用契約のうち6ヶ月が試用期間というのは相対的に長すぎるとみられ、法的に認められるのが難しいと考えます。契約社員であれば、契約更新のタイミングごとに雇い止めをもって解雇することが可能であり、比較的短期間の契約を繰り返し更新していく方が会社にとって有利といえます。なお、3回以上の契約更新を行うか、契約期間が通算して1年を超えるとその回数や期間に講じて雇い止めが認められづらくなってくるため、3ヶ月の雇用契約を1回更新、6ヶ月の雇用契約を1回更新でちょうど1年とし、その時点で雇い止めの実施を判断するのが最も会社にとって有利となります。

契約社員に試用期間を設ける

2.解雇以外に契約社員を退職させる方法とは?

① 正社員と同様に退職勧奨を行うことができる

会社も契約社員も契約期間が満了するまでの間は契約に拘束され、それぞれ解雇および退職をすることに制約がかかりますが、当事者同士で合意の上、契約を解消することには何ら制約がありません。つまり、もし、会社が契約社員に退職してもらいたいのであれば、いつでも退職勧奨を行うことで雇用契約を解除し、合意退職に持ち込むことも可能です。退職勧奨を行った際に契約社員が難色を示した場合には、会社は退職に向けたインセンティブ(残留した場合のデメリットと、退職した場合のメリット)を示すこととなります。従業員が退職勧奨に応じず残留した場合のデメリットの例をあげますと、このまま勤務を続けても現状、会社からの評価が低く、契約期間の満了をもって雇い止めになり、雇用契約の更新は望めないことなどです。また、従業員が退職勧奨に応じて退職した場合のメリットの例をあげますと、退職金に特別の加算を行うということ、有給の求職休暇を与えることなどです。これらの条件は、契約期間満了までの期間(契約終了までの期間に支払われるはずだった賃金)を算定の基準とすると説得力が増し、退職の合意を取り付けやすくなるでしょう。

② 契約社員はやはり雇い止めとするべき

実務上は、契約社員の解雇は契約期間の満了を待ち、雇い止めをもって行うことになります。短期の雇用契約ならばそれほど支障はないのですが、過去に3回以上雇用契約の更新を行っているか、契約期間が通算して1年を超えているような状態ですと、その回数や期間に講じて徐々に雇い止めが認められづらくなってきます。そのような場合に雇い止めを行うには、雇用契約の最後の更新時に「本契約をもって最終とし、再度の契約更新は行わない」といった一文を入れておきます。解雇ならば1ヶ月前に行う予告を雇用契約の最後の更新時に行うものでして、これによってスムーズに雇い止めを行うことが可能となります。

③ 契約更新の判断基準を明示しておく

雇用契約の更新までに雇い止めの判断がつけば理想的ですが、実際は契約の途中、あるいは満了直前になって雇い止めの判断を行うことがほとんどです。雇い止めが認められるには、労働契約法において「契約更新を行わない相当の理由」が必要とされるため、そのための根拠をあらかじめ雇用契約に盛り込んでおくようにします。根拠となる判断基準はなるべく数字などで客観的に判断できる基準が望ましいでしょう。いざ裁判などとなった際も、客観的に判断できる基準があることで立証が容易となります。

※参考 厚生労働省「有期労働契約の締結、更新および雇い止めに関する基準」
契約更新の判断基準モデルケース
・契約期間満了時の業務量
・労働者の勤務成績、勤務態度
・労働者の能力
・会社の経営状況
・従事している業務の進捗状況

 

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