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諭旨解雇と懲戒解雇、あるいは退職勧奨の違いとは?

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Q.お恥ずかしい話ですが、弊社の営業社員が経費の不正請求を繰り返しており、その額が数百万円に上ることが社内調査の結果、発覚しました。 証拠もすでに充分集まっており、これから本人を問いたださねばなりませんが、事実の認否にかかわらず、きわめて悪質な行為があったことは明白で、何らかの処分は必要と考えます。他の社員への手前もあり、いずれかの形で退職してもらわねばなりませんが、懲戒解雇と諭旨解雇、どちらの処分で退職させるのが妥当でしょうか。 また、就業規則には定めがあるのですが、諭旨解雇というものが今ひとつピンと来ないため、ご説明をお願いいたします。
A.諭旨解雇とは、従業員が重大な規律違反を行った場合に、就業規則の定めにより、会社が行うことができる懲戒処分の一つです。一般的には、会社から対象者に退職届の提出を促し(一定期日の内に提出がなかった場合に懲戒解雇とする場合が多くあります)、反省とともに退職してもらう手段とされます。就業規則への定め方や運用に関し、労働基準法に何ら定めがなく、会社の裁量に委ねられているという点に難しいところがあります。「諭旨退職」という場合もありますが、趣旨としては一緒です。 さて、懲戒解雇と諭旨解雇、どちらの方法で退職させるかについてですが、きわめて簡単に述べると就業規則上の懲戒解雇の条項に該当すれば懲戒解雇、諭旨解雇の条項に該当すれば諭旨解雇ということになります。会社の意図で所定の処分を軽くしたりする重くしたりする考え方については、下記に詳述します。

1.懲戒解雇も諭旨解雇も懲戒処分の一種である。

① 諭旨解雇が法的に認められるための手続き

諭旨解雇はもともと就業規則に定めがあり、それに該当する従業員の規律違反が発覚した場合に実施を検討することになります。会社としては諭旨解雇に相当する行為があったのか、証拠を集め、対象者および関係者に聴取するなどし、規律違反の事実を確認しなければなりません。諭旨解雇は就業規則の定めにのっとって行う限り、会社が一方的に従業員を解雇することのできる措置ですが、その実施にあたっては慎重を期すべく、対象者の言い分を聴く機会を設けねばならないとされています。 対象者の言い分を聴くことなく誤った事実に基づき処分を下してしまったり、元々の就業規則による処分の内容が過酷であったり、あるいは誤った条項を当てはめて処分を下してしまった場合において、処分が重すぎると判断された場合、後からでも「懲戒権の濫用」として諭旨解雇が無効とされることがあるため、諭旨解雇の実施に際してはもちろん、就業規則に諭旨解雇の条項を定める段階から、すでに注意が必要といえます。

② 懲戒処分の加重または軽減の問題

就業規則の懲戒の項目に「情状によって処分を加重または軽減する」との定めがなされることが多くあります。これは、例えば当人がまったく反省せず、他の社員に示しが付かない場合の加重や、自ら規律違反に該当する行為があったことを申告したような場合の軽減などです。裁判所が行うような判断を会社の中で行うわけですので、何の理由もなく安易に処分の加重や軽減を行ってはいけません。 ところで、懲戒処分を就業規則の定めによらず加重することは「懲戒権の濫用」の問題から行うことはできませんが、軽減することならば、労働者にとって有利な取り扱いであるため、問題ないといえます。そこで、本来ならば懲戒解雇とする処分を軽減し、諭旨解雇とすることについても何ら問題ないと考えられます。

③ 積極的に諭旨解雇を選択することはあり得るのか

諭旨解雇の実施を検討する際は、ほとんどの場合において重大な規律違反行為に対するものであるため、懲戒解雇の実施を併せて検討することになりますが、対象者によっては、懲戒解雇の実施を激しく拒否する場合があります。話を聞いてみると、懲戒解雇は実に不名誉であり、キャリアに傷が付き、再就職が困難になるといいます(マスコミ沙汰にでもならなければ、再就職に影響はないのですが)。また、社内規定において懲戒解雇とされれば、退職金の支給はゼロか大幅に減額されてしまう場合が多いのです。このような場合に無理に懲戒解雇として、後から「懲戒権の濫用」として裁判に訴え出られることを考えれば、敢えて、落としどころとして諭旨解雇を選択すると言うことも考えられます。 ちなみに、他のホームページなどで諭旨解雇については「本来懲戒解雇とすべきところを武士の情けをもって、罪一等を減じて諭旨解雇とする」といった解説が書かれている場合がありますが、こうした諭旨解雇の効用を考えると、ちょっと恩着せがましい印象を受けてしまいます。

2.懲戒処分ではない退職勧奨を含め、解決方法を考える。

① 諭旨解雇と退職勧奨の違い

諭旨解雇は従業員の規律違反行為があった際、就業規則に基づく懲戒処分として行うものであり、いつ行うか、どのような退職条件とするかについては決まっているため、基本的に交渉の余地はありません。「退職届を書け、さもなくば懲戒解雇だ」ということになります。 一方、退職勧奨の場合は就業規則に手続きを定める類のものでなく、あくまで会社と従業員との間のコミュニケーションとして退職を勧める行為であり、いつでも自由に行うことができ、退職条件についても当事者の合意により自由に設定することができます。ただし、対象者の同意は必要となります。

諭旨解雇と退職勧奨、懲戒解雇の違いを表にすると以下の通りとなります。

 就業規則の定め実施の時期本人の同意解雇予告(除外認定)退職金失業保険
懲戒解雇必要規定による不要必要ゼロか大幅な減額。3ヶ月間の給付制限
諭旨解雇必要規定による不要(不同意の場合は懲戒解雇)必要自己都合により計算した額か、ある程度の減額。3ヶ月間の給付制限
退職勧奨不要自由必要不要交渉次第。会社都合により計算した額に加え、加算されることも。すぐに支給。給付日数が増えることも。
② 諭旨解雇を避け、退職勧奨とすることはあり得るのか

先ほど述べた通り、諭旨解雇の実施にあたっては、就業規則による定め、規律違反の事実およびその確認、対象者への聴聞、そして処分が一般的に妥当であるかといった問題が生じます。こうした煩雑な手続きや難しい判断を行うことにより、後々「懲戒権の濫用」として訴え出られるリスクを避け、内々に対象者に退職勧奨を行い、穏便に退職してもらう方法もあります。 退職条件については対象者の合意さえ得られれば自由に設定することができるため、懲戒解雇または諭旨解雇の実施に代わる退職勧奨という前提で交渉に臨めば、対象者の側には失業保険の扱いが有利になるメリットがあり、退職金の条件などについても比較的会社の主張が通りやすいのではないかと考えられます。

 

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