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試用期間中の社員を解雇する際に注意すべきこととは?

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Q.2ヶ月半程前に正社員として仮採用し、現在試用期間中の従業員がいるのですが、仕事の飲み込みが悪く、周囲との折り合いも悪いために、このまま本採用とはせず、試用期間が満了する3ヶ月の時点で解雇することを考えています。法的に注意すべきことがあれば、教えてください。
A.試用期間を法的に解釈すると、会社側が「従業員を解雇する権利を留保した」雇用期間となります。 これは試用期間中であれば、無制限に解雇が認められるということではなく、正社員としてやっていける見込みがないということが客観的に明らかであり、その理由が相当である場合に本採用拒否としての解雇が認められるということです。 試用期間中であっても、雇い入れから14日を経過すると、30日前に解雇予告をしなければなりません。ご質問の場合ですと、すでに2ヶ月半を経過していますので、3ヶ月の時点で解雇するのであれば、15日前の解雇予告に加え、15日分の解雇予告手当を支払う必要があります。

1.試用期間だからといって安易に解雇が認められるわけではない。

① 本採用拒否、試用期間中の解雇はそれぞれ、どのような場合に認められるのか

本採用拒否としての解雇は、会社が採用決定後に調査した結果によって、または試用期間中の勤務状態等によって、当初知らなかったような事実が判明した場合で、そのものを引き続き雇用しておくのが適当でないと判断することが相当な場合に、認められます。 「うちの仕事に向いていない」といったような漠然とした理由で解雇することはできず、勤務成績や勤務態度、協調性の欠如などを客観的な資料(日々の勤務記録やタイムカードなど)で示すことができ、さらに、その是正のために会社側が一定の指導を講じたことも資料として残さねばなりません。 試用期間途中で解雇を行う場合は、本採用拒否と異なり、試用期間が終了するまでの間に従業員当人の成長、改善が期待されるため、期間の猶予を与えるべきとの判断が裁判の場でもなされることがあります。 そのため、将来も成長、改善の余地がなく、正社員としての資質を備える可能性がなく、ただちに解雇を決定するほどの状況でなければ、試用期間中の解雇は認められないと思われます。

② 試用期間であっても解雇予告は必要となる

従業員が試用期間中であっても、解雇しようとする場合は、30日前に解雇予告をするか、この日数を短縮した分の解雇予告手当を支給しなければなりません。ただし、試用期間当初の14日に解雇を行う際は、予告は不要とされています。 そもそもこの14日という期間では従業員が自社にふさわしい人材か、資質を判断するには、(解雇が法的に有効と認められる上でも)判断材料に乏しいため、実務的に14日以内での解雇を行うことは少ないかと思われます。 ちなみに、雇い入れ時に3ヶ月の雇用契約を結んでいるので、3ヶ月を経過した時点で自動的に退職となる、と会社側が主張される場合があるので、コメントしておきましょう。 これは一見有効のようですが、実態が本採用の前段となる試用期間であれば、期間の定めのない雇用契約として通常の本採用拒否と同じとみなされ、雇い止めの効力は無効とされてしまいます。 また、最近増えている「トライアル雇用奨励金」を活用した雇用の場合は、3ヶ月以内の雇用契約が前提となりますが、本採用を行わず雇い止めとする際には、雇用契約期間が満了する30日前に雇い止めの予告を行う必要があります。

2.試用期間導入の際の手続きと有効な使い方とは。

① 試用期間導入の際の手続き、期間の設定

試用期間が法的に有効とされるには、雇い入れ時に労働契約書などで試用期間としての雇用契約であること(およびその期間、本採用と労働条件が異なるときはその内容)を明示するとともに、就業規則などで試用期間中の解雇事由を明示しておく必要があります。 もちろん、従業員側に知らせず、後付けで試用期間だと主張することはできません。 会社側としては試用期間を長く設定して、あるいは試用期間を延長して、少しでも長く正社員としての資質を判断したいと考える場合も多いのですが、労働者側としてはそれだけ身分が不安定な期間が延長されることとなるため、試用期間の長さ及び延長には一定の制約が設けられています。 試用期間の長さは一般的には3ヶ月程度、長くても6ヶ月程度となり、これ以上となると、効力に疑問が付くようです(過去の判例では1年の試用期間が無効とされています)。 試用期間の延長については、会社の都合で一方的に行うことはできると考えがちですが、労働者側の同意を得ておくのが無難でしょう。 試用期間の延長は、就業規則などの定めによって行うことが要件とされるとともに、通常ならば、正社員として適性がみられず、本採用拒否とする労働者を、まだ期間をもって指導、観察を行い、本採用とする余地があるような場合になされるものです。

② 問題社員となるような社員を採用しないために、試用期間を活用する

会社の方から問題社員を解雇したいとよくご相談をいただきますが、一度本採用とした労働者の地位はそうそう奪うことができず、会社側も相応の代償を支払うことを余儀なくされています。 それならば、まず、採用を行う際に対象者を厳しく選考し、少しでも問題社員となる可能性のある社員を採用しないという水際作戦を採られることが、コストおよび手間の上で効率的です。 しかしながら、当事務所にて採用業務の支援を行う最中で感じるのは、採用試験や面接などだけで、労働者が期待通りのパフォーマンスを発揮するかを完全に把握するのは、困難だということです。 そこで、実際にしばらく仕事をさせて自社の業務を支障なくこなすか判断する場として、会社側は試用期間の制度を積極的に活用していくべきと考えます。 試用期間中の解雇および本採用拒否には、前記のように様々な要件が求められるとしても、通常の正社員を解雇する場合と比べれば会社側の事情が認められやすいということがポイントです。

 

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